【読書リスト】を更新しました。
今回、新規に取り上げた本は次の6冊。すでに、これまでの日々の『逃病日記』の【今日の読書】で取り上げている本もあり、その場合はコメントを少し手直しして再掲した。
@『平成経済20年史』紺谷典子 5/6
A『吉本隆明をよむ日』岡井隆 5/9
B『失われた時を求めて12』プルースト 5/10
C『パン屋再襲撃』村上春樹 5/10
D『数式を使わない物理学入門』猪木正文 5/19
E『悪人』吉田修一 5/19
@『平成経済20年史』は、岩田規久男の『デフレと超円高』を読み終え、次に読むことにした。前書『デフレと超円高』は2011年の刊行で、2010年頃までの経済・金融・財政状況をフォーローしていた。著者は、日銀に批判的な論客として知られていたが、同書内でも再三、日銀批判を行っていた。しかし、同書を刊行後、2013年に日銀副総裁に就任し、2018年まで在籍した。「ミイラ取りがミイラになる」ということでもないんだろうが、副総裁として実務を担って「外部にいたときは金融政策の観点でしか日銀をみていなかったが、信用秩序の維持がなければ物価の安定もできない。そのためには様々な人々の仕事、下支えがある。日本銀行の実務に対する理解を深めつつある状況だ」とロイターとのインタビューで述べている。現在も居残っている黒田日銀総裁とともにアベノミクスを金融面から押し進めた張本人だが、現在の日米金利差からくる円安に対して、国債の利払増による財政破綻の懸念から金利の引き締めもままならず、まさに崖っぷちといってもいいような日本経済だが、加えてウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁を原因とするインフレ懸念 インフレターゲットによる2%の政策的インフレが実現できない状況下で、昨年下半期からの原油高もあって実体経済の方で(悪い)インフレの兆しが現れてきた。
最近はコロナも下火になって、京都でもここ一、二年に比べて観光客が増えたようだ。今後、外国人観光客の入国が解禁されるんだろうが、現在の日本は、経済成長をインバンドにしか期待できない「観光立国」に成り下がってしまったような印象がある。あの「経済成長」を謳歌していたころの日本の産業はどこに行ってしまたんだろう?
ということで、次の『平成経済20年史』(幻冬舎新書)で、しばらく「日本経済史」関係の著作を読んでいこうかなと思っている。
A『吉本隆明をよむ日』は、永田和宏・河野裕子夫妻関連の本を集中的に読んでいて、「短歌づいた」わけでもないが、気になる本があって、本棚の奥に眠っている短歌関係の本をいろいろと探し出した。
❶吉本隆明『吉本隆明 詩歌の呼び声 岡井隆論集』、❷岡井隆『吉本隆明をよむ日』、❸岡井隆『現代短歌入門』、❹岡井隆・金子兜太『短詩系文学論』、❺上田三四二『戦後短歌史』、❻菅谷規矩雄『詩的リズム』等々で、一番古いのは『戦後短歌史』だが、奥付を見ると1974年5月31第1版第1刷発行とある。なんと50年近く前に刊行された本だ。経年焼けで変色しているが、パラパラとめくってみると所々に棒線 当時は現在のようなマーカーなんてシャレたものではなく鉛筆 が引かれているので、記憶にはないが、一応、読んだということなんだろう。
家探しして出てきた本 読んだはずだと記憶していた本 は、確かに、古書店などに売り払わずに残っていたが、今、再読すべきかどうか迷うところ。とりあえず、『吉本隆明 詩歌の呼び声 岡井隆論集』と『吉本隆明をよむ日』だけは読むことにした。後は、まあ、その都合でということにしようと思う。
B『失われた時を求めて12』は、前巻の11巻あたりでは、「ソドムとゴモラ」の話ばかりが延々と続くので、だいぶ中弛みの感があったが ここらで中断してしまう人も多そうな気がする 巻も改まって、いよいよ最終コーナーに差し掛かった。さあ、あと3巻、ゴールに向かって気合を入れよう。このカテゴリーは、原則として就寝前の30分だけしか読んでいないが、まさに「雨垂れ石を穿つ」といか「塵も積もれば山となる」というか、まあ、そんな感じだわな。
C『パン屋再襲撃』は、『女のいない男たち』を読了し、次は同じく村上春樹の短編集で『パン屋再襲撃』を読むことにした。『女のいない男たち』は、すべて「男と女の話」だが、まあ、「玉石混交」というところかな。中では、個人的には『ドライブ・マイ・カー』が一番面白かったように思う。『イエスタディ』では、「らしくない『関西弁』」について、だいぶ突っ込ませてもらたた。
D『数式を使わない物理学入門』は、永田和宏・河野裕子夫妻関連の本を集中的に読んでいた時期に、書店で本書をパラパラと立ち読みしていて、細胞生物学者でもある永田和宏氏が若い頃に読んだ本として、同書の巻末に「文庫化に寄せて」と推薦文を寄せていて、それを読んで購入した次第。次は、前書『宇宙創造』と同じ新潮文庫で、訳者も同じ『量子革命』を読もうと思っていたが、本書を買ったので、まずは入門書としてこちらから読むことにした。
E『悪人』は、現在読み進めている『小説的思考のススメ』で、吉田修一の本書『悪人』が「女の人はみなお嘘をつくのですか?」と副題がついて取り上げられていた。それで、まず本書を原作とした映画を観たが、同時にAmazonで本書を注文していたもの。宅配が届いて早速読み始めたが、先に原作の本書の方を読んだ方が良かったように思う。読んでいても、主人公を始め書中で出てくる人物像に関し、どうしても映画作品で演じていた俳優のイメージが定着してしまっていて、なんか後追いでシナリオを読んでいるような感じがする。
下記のリスト中、アンダーラインの太字の書名は今回新たにリストアップした本、太字の書名は現在読書中の本、アンダーラインの太字ではない書名は読むのを中断した本、そして特に表示のない書名は読了済みの本を表す。
また、書名の頭の◯数字は、次のとおり、ゆるいカテゴリー分けを表すが、区分はそれほど厳密なものではなく、今後、変わることもある。
@ 吉本隆明の著作
A 経済学関係の著作
B 自然科学関係書籍(キーワードは意識/脳/生命/遺伝子/宇宙/素粒子)
C 小林秀雄の著作
D 小林秀雄・吉本隆明関係の著作
E 実録・エッセイ等
F 小説一般
G プルースト『失われた時を求めて』
H 聖書・古典関係
I 書店の平積みや書籍広告などで興味を持った本(ジャンルは問わない)
J 病院などでの待ち時間に読む本(日記類など細切れ読書に適した本)
K 特定ジャンルのツンドク書籍(現在は小説・物語に関するもの)
L Kindle端末
◎ 読書リスト67(2022.5.19)
@-1-15は『読書リストF』を参照
-16『吉本隆明×吉本ばなな』吉本隆明・吉本ばなな/ロッキング・オン 1997.2.15
-17『老いの超え方』吉本隆明/朝日新聞社 2006.5.30
-18『悪人正機』吉本隆明 糸井重里/朝日出版社 2001.6.5
-19『老の流儀』吉本隆明/NHK出版 2002.6.25
-20『吉本隆明 最後の贈りもの』吉本隆明/潮出版社 2015.4.20
-21『吉本隆明代表詩選』高橋源一郎 瀬尾育生 三浦雅士/思潮社 2004.4.25
A-1-30は『読書リストF』を参照
-31『二十一世紀の資本主義論』岩井克人/ちくま学芸文庫 2006.7.10
-32『貨幣論』岩井克人/ちくま学芸文庫 1998.3.10
-33『経済学を学ぶ』岩田喜久男/ちくま新書 1994.9.20
-34『景気ってなんだろう』岩田喜久男/ちくまプリマー新書 2008.10.10
-35『マクロ経済学を学ぶ』岩田喜久男/ちくま新書 1996.4.20
-36『日本経済を学ぶ』岩田喜久男/ちくま新書 2005.1.10
-37『デフレと超円高』岩田喜久男/現代新書 2010.2.20
-38『平成経済20年史』紺谷典子/幻冬舎新書 2008.11.30
B-1-30は『読書リストF』を参照
-31『138億年宇宙の旅 下』C.ガルフォール/ハヤカワ文庫 2019.6.15
-32『ブラックホールを見つけた男 上』A.I.ミラー/草思社文庫 2015.12.8
-33『ブラックホールを見つけた男 下』A.I.ミラー/草思社文庫 2015.12.8
-34『宇宙を織りなすもの 上』B.グリーン/草思社文庫 2016.10.10
-35『生物はなぜ誕生したのか』P.ウォード他/河出文庫 2020.4.10
-36『宇宙を織りなすもの 下』B.グリーン/草思社文庫 2016.10.10
-37『生命海流』福岡伸一/朝日出版社 2021.6.12
-38『種の起原 上』C.ダーウィン/岩波文庫 1990.2.16
-39『種の起原 上』C.ダーウィン/光文社古典新訳文庫 2009.9.20
-40『宇宙創成 上』S.シン/新潮文庫 2009.2.1
-41『種の起原 下』C.ダーウィン/光文社古典新訳文庫 2009.12.20
-42『宇宙創成 下』S.シン/新潮文庫 2009.2.1
-43『数式を使わない物理学入門』猪木正文/角川文庫 2020.5.25
C-1『小林秀雄全作品1/様々なる意匠』小林秀雄/新潮社 2000.9.20
-2『小林秀雄全作品2/ランボウ詩集』小林秀雄/新潮社 2002.11.1
-3『小林秀雄全作品3/おふえりあ遺文』小林秀雄/新潮社 2002.12.1
-4『小林秀雄全集2/Xへの手紙』小林秀雄/新潮社 2001.5.1
-5『小林秀雄全集3/私小説論』小林秀雄/新潮社 2001.12.10
-6『小林秀雄全集4/作家の顔』小林秀雄/新潮社 2001.8.1
-7『小林秀雄全集5/文藝批評の行方』小林秀雄/新潮社 2002.2.1
D-1『この人を見よ』小林秀雄全集編集室/新潮文庫 2015.1.1
-2『小林秀雄対話集』小林秀雄/講談社 1966.8.10
-3『小林秀雄の思い出』郡司勝義/文春学藝ライブラリー 2014.6.20
-4『わが小林秀雄ノート 向日性の時代』郡司勝義/未知谷 2000.2.20
-5『わが小林秀雄ノート2 批評の出現』郡司勝義/未知谷 2000.9.20
-6『わが小林秀雄ノート3 歴史の探求』郡司勝義/未知谷 2001.3.25
-7『吉本隆明がぼくたちに遺したもの』加藤×高橋/岩波書店 2013.5.9
-8『吉本隆明のDNA』姜尚中 他/朝日新聞出版 2009.7.30
-9『わが小林秀雄』河上徹太郎/昭和出版 1978.6.1
-10『《論考》小林秀雄 増補版』中村光夫/筑摩書房 1983.7.20
-11『吉本隆明をよむ日』岡井隆/思潮社 2002.2.1
E-1-15は『読書リストF』を参照
-16『成城だよりU』大岡昇平/中公文庫 2019.9.25
-17『トルーマン・カポーティ 上』G.プリンプトン/新潮文庫 2006.8.1
-18『トルーマン・カポーティ 下』G.プリンプトン/新潮文庫 2006.8.1
-19『成城だよりV』大岡昇平/中公文庫 2019.10.25
-20『犬は吠えるT ローカル・カラー 他』T.カポーティ/ハヤカワ文庫 2006.9.10
-21『犬は吠えるU 詩神の声聞こゆ』T.カポーティ/ハヤカワ文庫 2006.9.10
F-1-60は『読書リストF』を参照
-61『夜の樹』T.カポーティ/新潮文庫 1994.2.25
-62『ねじまき鳥クロニクル2』村上春樹/新潮文庫 1997.10.1
-63『ねじまき鳥クロニクル3』村上春樹/新潮文庫 1997.10.1
-64『草の竪琴』T.カポーティ/新潮文庫 1993.3.25
-65『ティファニーで朝食を』T.カポーティ/新潮文庫 2008.12.1
-66『スプートニクの恋人』村上春樹/講談社文庫 2001.4.15
-67『海辺のカフカ 上』村上春樹/新潮文庫 2005.3.1
-68『海辺のカフカ 下』村上春樹/新潮文庫 2005.3.1
-69『アフターダーク』村上春樹/講談社文庫 2006.9.15
-70『女のいない男たち』村上春樹/文春文庫 2016.10.10
-71『パン屋再襲撃』村上春樹/文春文庫 2011.3.11
-72 『悪人』吉田修一/朝日文庫 2018.7.30
G-1-5は『読書リストF』を参照
-6『失われた時を求めて6』プルースト/岩波文庫 2013.11.15
-7『失われた時を求めて7』プルースト/岩波文庫 2014.6.17
-8『失われた時を求めて8』プルースト/岩波文庫 2015.5.15
-9『失われた時を求めて9』プルースト/岩波文庫 2015.11.17
-10『失われた時を求めて10』プルースト/岩波文庫 2016.9.16
-11『失われた時を求めて11』プルースト/岩波文庫 2017.5.16
-12『失われた時を求めて12』プルースト/岩波文庫 2018.5.16
H-1『新約聖書U』佐藤優 訳・解説/文春新書 2010.11.20
-2『旧約聖書』中沢洽樹/中公クラシックス 2004.11.10
-3『パンセT』パスカル/中公クラシックス 2001.8.25
I-1-30は『読書リストF』を参照
-31『我が詩的自伝』吉増剛造/講談社現代新書 2016.4.20
-32『あの胸が岬のように遠かった』永田和宏/新潮社 2022.3.25
-33『歌に私は泣くだろう』永田和宏/新潮文庫 2015.1.1
-34『評伝・河野裕子』永田淳/白水社 2015.8.5
J-1『戦中派虫けら日記』山田風太郎/ちくま文庫 1998.6.24
-2『戦中派不戦日記』山田風太郎/講談社文庫 1985.8.15
-3『戦中派焼け跡日記』山田風太郎/小学館文庫 2011.8.10
-4『戦中派闇市日記』山田風太郎/小学館文庫 2012.8.8
-5『戦中派動乱日記』山田風太郎/小学館文庫 2013.8.7
-6『戦中派復興日記』山田風太郎/小学館文庫 2014.8.10
-7『池波正太郎の銀座日記』池波正太郎/新潮文庫 1991.3.25
K-1-10は『読書リストF』を参照
-11『小説家になる!』中条省平/ちくま新書 2006.11.10
-12『創作の極意と掟』筒井康隆/講談社文庫 2017.7.14
-13『パムクの文学講義』オルハン・パムク/岩波書店 2021.8.5
-14『この30年の小説、ぜんぶ』高橋(源)/斎藤(美)/河出新書 2021.12.30
-15『読書実録』保坂和志/河出書房新社 2019.9.20
-16『現代小説の方法』中上健次/作品社 2007.2.25
-17『小説的思考のススメ』阿部公彦/東大出版会 2012.3.21
L-1『断腸亭日乗』永井荷風/(底本) 岩波書店 1993.6.258
-2『あめりか物語』永井荷風/グーテンベルク21 2012.7.25
-3『ふらんす物語』永井荷風/グーテンベルク21 2012.3.25
-4『吾輩は猫である』夏目漱石/(底本) 全集1/ちくま文庫 1987.9.29