2023年03月05日

逃病日記479(23.3.5.日)

(23.3.5.金)晴れ
 今日は、WBC侍ジャパンの中日戦のテレビ中継を観ていた。
 4人の先発ピッチャー陣  ダルビッシュ、大谷、山本、佐々木  の前評判の裏側で、懸念されていた、4人の先発陣を継投をする第二先発のピッチャー陣と水モノの打線だが、今日の試合ではその懸念材料が現実化した。
 昨年のセリーグ最下位の中日相手に第二先発やクローザー候補のピッチャーが打ち込まれ2対7と大敗した。
 打線に関しては村上、岡本、山川に一発が出ていないし、山川、山田に至っては、今のところ安打がゼロという惨憺たる成績。多少なりとも打てているのは、岡本と近藤だけ。韓国戦に先発のダルビッシュが好投したとしても  球数制限で4回までぐらいしか投げられない  、あてにならない第二先発陣や現在のような調子の打線では、勝つのはなかなかたいへんだ。
 「史上最強のメンバー」とキャッチフレーズはいいが、その裏側を見ると、なんとか準々決勝まではいけるだろうが  日本がプールBで3位以下になることはないだろう  、その先は必ずしも保証されてはいないだろう。

(23.3.6.土)晴れ
 今朝の朝日新聞『読書』欄では、下記@の一点だけが気にかかった本。
 現在も京都在住だが、学生時代に宝ヶ池に近い岩倉に住んでいたこともあって、私にとって何かと思い出の多い「宝ヶ池」という地名に引っかかった。
  @『宝ヶ池の沈まぬ亀U ある映画作家の日記2020‒2022』青山真治
  A『宝ヶ池の沈まぬ亀 ある映画作家の日記2016‒2020』青山真治
 書評を読んでいると、著者は食道がんで亡くなっているので、本書は「闘病記」ということになるのかもしれない。しかし「闘病記」ということなら、読んでみようという気持ちに少しためらいが生じないでもない。
 「知らぬが仏」ということわざがあるが、「闘病記」の場合は読んで勇気づけられることがある反面、内容によっては、これまで知らなかったような(マイナスの)情報を目にして、落ち込んでしまうこともあるかもしれない  例えば、私と同じ治療計画を辿った後に再発した、なんてことが書かれていたら、やはり落ち込んでしまうだろう。
 現在の私の良好な経過は、治療内容がたまたま適合した結果であって、非常に幸運だったと思っている。しかし、こと癌の体験記などに関しては、かなりセンシティブになっているので、些細な言葉やフレーズが気にかかってしまうことがある。
 先日も、ブログを書く際、「免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ」に関してウェブサイトで検索したが、そこにキイトルーダを使用した患者の余命のデータが掲載されていて、その数字を自分の状況と引き比べてしまって、ついつい気にかかって、引きづってしまうことになる。
 とまあ、そういうマイナス面が頭をよぎったが、それ以上に魅力のありそうな内容に思えたので読んでみることにした。近くの大垣書店や恵文社には置いていないだろうと思い、早速、Amazonで注文した。Amazonで見てみると、本書に先行して発売されている上記Aもあったので、これも併せて発注した。明日日曜日に届くとのこと、ハヤッ!

(23.3.7.日)
 今日のお昼は、堀川北大路を上った紫野にある『すずや』のたこ焼きを買いに行った。
 これまでも、なんとなく月に1回ぐらいは食べたくなって、わざわざ往復30分近くかけて車で買いに出かけている。
 いつも、たこ焼き、しぐれ焼き、イカ焼きの三点を買ってくる。たこ焼きには、親指の先ぐらいのタコがごろっと入っている。しぐれ焼きというのは直径7、8センチぐらいでお好み焼きの小さなやつってな感じ。イカ焼きは、小麦粉と卵を混ぜたキジに3、4センチほどに刻んだイカを入れて焼いたもの。一緒に食べると、“喰い合わせ”でお腹の中でタコとイカが喧嘩する・・・、なんてことはないと思う。
 ヨメさんが同乗していたので、帰路は軽くドライブがてら北山通りまで廻って、植物園の北側を走り、高野川を渡って修学院まで行って、東大路通を下がって帰った。
 途中、「ラーメン街道」を通ったが、日曜日のお昼ということで、『極鶏』『神来』『池田屋』『高安』などの人気のラーメン店前は長蛇の人列ができていたが、意外と『高安』の人列が一番多かったみたい。

 昨日、Amazonに発注していた青山真治氏の『宝ヶ池の沈まぬ亀U ある映画作家の日記2020‒2022』と『宝ヶ池の沈まぬ亀 ある映画作家の日記2016‒2020』の2冊が、夕方、届いた。それにしても、ハヤッ!
 パラパラと斜め読みしたが、「闘病記」としての性格は薄く、映画を中心とした芸術関係のコメントが多い感じ。
 とりあえず『宝ヶ池の沈まぬ亀U ある映画作家の日記2020‒2022』の最後半の2章  このうち最後の1章は、氏の没後にPCのハードディスクに残っていた原稿を起こした章  だけはじっくりと読んでみた。
 さすがにここら辺りには、余命を告げられた話や終末期の治療の話などが記載されている。終末期の治療については、免疫チェックポイント阻害薬を用いた免疫療法のことが記載されている。青山氏の場合は、オプジーボ  ノーベル賞を受賞した本庶佑先生の研究成果をもとに開発された医薬品  を使ったようだが、氏のケースのがん種(食道がん)や体質に合わなかったのだろうか、効果がなかったようだ。私の場合は、同種で同じ効能の医薬品キイトルーダを用いた免疫療法だったが、幸いにも、私の患ったがん種(気管がん・扁平上皮がん)や体質に適合して、腫瘍が消失したのだろう。

【今日の読書359※書名頭の数字は当方のブログ『読書リスト』の数字
A-43『明治大正史 上』
B-49『生物の世界』
B-48『量子革命』
E-23『自由対談』
E-24『若い読者のための短編小説案内』
F-82『ここから世界が始まる』
G-14『失われた時を求めて14』
H-5『自省録』
I-24『読書の日記』
I-37『文学の淵を渡る』
K-24『現代小説作法』
L-8『それから』
コメント:B-49『生物の世界』は、現在、読んでみると当たり前の正論しか書かれていないように思うが、本書は、1940年の戦前に刊行され、戦後、入手困難となっていたものが、1972年に文庫本として復刊されたもの。刊行後80年も経っているが、考えてみれば、ダーウィンの『種の起源』なんて1859年に刊行されているので、刊行後160年も経過している。社会科学の本ならいざ知らず、自然科学の本ではめずらしいのではないだろうか。その後の細胞・遺伝子学などの生物学や地質学等の発展によって否定されている箇所もあるとはいえ、「進化論」の基本的な考え方自体は、現在でも十分に通用するものがあるように思う。
 その意味では、今西錦司氏の『生物の世界』も、同様な位置付けにある書といるだろう。第一章の「相似と相異」から、印象に残った文章を抜粋しておいた。
p.11「この世界が混沌としたでたらめなものではなくて、一定の構造もしくは秩序を有し、それによって一定の機能を発揮しているものと見ることは、この世界を構成しているいろいろなものが、お互いに他の存在とは何らかの関係もないにもかかわらず、ただ偶然にこの世界という一つの船に乗り合わせたに過ぎないといったような物の見方をしりぞけて、それらのものはお互いの間を、大なり小なり何らかの関係で結ばれているのでなければならないと、思わしめるのである。」
p.12「かりに一歩を譲って、この世界の船の乗客が、他の世界からお互いに何の相談もなしに乗り込んできた船客たちであったとしても、この船は無制限に、でたらめにいろいろな客を乗せることはしていないのである。(中略)それはさておき、これらの船客は果たして他の世界から乗り込んできたものだろうか。私はもちろん他の世界というものを知らない、だから他の世界というものを考えることはできない。だからもし他の世界から来て、乗り合わしたものでないとするならば、後にはただ一つの考えが許されるだけである。それはすなわち、それらの船客が船の外から乗り込んできたものではなくて、はじめから船に乗っていたものと考えることなのである。いい換えるならばそれらの船客はみな、船の中で生まれたものと考えるより他ないのである。」
p.13「この地球の変化を、単なる変化と見ないで、やはり一種の生長とか、発展とかいうように見たいのである。」
p.13-14「この世界を構成しているいろいろなものが、お互いに何かの関係で結ばれているのでなければならないという根拠が、単にこの世界が構造を有し機能を有するというばかりではなくて、かかる構造も機能も要するもとは一つのものから分化し、生成したものである。その意味で無生物といい生物というも、あるいは動物といい植物というも、そのもとを糺せばみな同じ一つのものに由来するというところに、それらのものの根本関係を認めようというのである。」
p.25「われわれは人間的立場にあって生物の生活を知ろうとし、またその住まう世界をうかがおうとしているのである。だからわれわれに許された唯一の表現方法は、これらの生活や世界を人間的に翻訳する他ない。」

今日の映画359】※データは『映画.COM』のサイト等から入手
邦題:『アレクサンダー大王(TSUTAYAレンタルビデオで視聴)
原題:MEGALEXANDROS
製作年:1980年
製作国:ギリシャ
監督:テオ・アンゲロプロス
出演:オメロ・アントヌッティ/エバ・コタマニドゥ/グリゴリス・エバンゲラトス/ミハリス・ヤナトス
ストーリー:20世紀目前の大晦日、アレクサンダー大王と呼ばれる首領に率いられた山賊たちが脱獄。銃を手にした彼らはイギリス人貴族たちを誘拐、特赦を発令すると共に土地所有権の農民への返還を政府に要求するが・・・
コメント:評価は5点満点で、映画.COMは4.0、TSUTAYAは3.25、Filmarksは3.7で、私の評価は3.0とした。
 ある義賊が故郷の小さな村で独裁者へと変貌していく姿をギリシャ歌劇の姿を借りて描きながら、ファシズムの実像に迫りその危険性を告発する、アンゲロプロス監督の壮大な歴史劇ということだが、私は、テレビをつけながら、片耳のイヤホンを外して、テレビと映画の両方を観ているので、なんのこちゃわからんようになる。

今日のジャズ359※データは『ジャズ資料館』のサイト等から入手
タイトル:God Bless The Child
アーティスト:Kenny Burrell
レーベル:CTI/キングレコード
録音年月日:1971.4.ー 1971.5.
曲名:@Be Yourself/ALove Is The Answer/BDo What You Gotta Do/CA Child Is Born/DGod Bless The Child/EBallad Of The Sad Young Men/FLost In The Stars/GA Child Is Born
ミュージシャン:Freddie Hubbard (tp)/Kenny Burrell (g)/Hugh Lawson (p)/Richard Wyands (p)/Ron Carter (b)/Billy Cobham (ds)/Ray Barretto (per)/String Section
コメント:ケニー・バレルのブルージーなギター・ワークが遺憾なく発揮される。持ち味を知り尽くしたクリード・テイラーだけに、これはテイラーにとっても理想的なアルバムとなった。ドン・セベスキー編曲のオーケストラをバックに、バレルとそのコンボが、どちらかといえば淡々とした風情で演奏を重ねていく。タイトル・トラックも名演だが、どれ以上の聴きものが〈ア・チャイルド・イズ・ボーン〉だ。(『レーベルで聴くジャズ名盤1374』から引用)
<YouTubeライブ映像>
   
posted by ポピー at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 逃病日記