2023年01月22日

逃病日記467(23.1.22.日)

(23.1.20.金)晴れ
 今日は、当方の書棚がいっぱいになってきていたので、もう読まないだろうと思われる本を抜き出してK大熊野寮に持っていった。以前にも一度持って行ったことがある。熊野寮は娘一家と同じ町内にあり、寮の学生が町内でボランティアで学習塾を開いたり、寮祭に町内の住民が参加したりしている。そんな地域交流の一環として、町内のミニコミ誌に寮の学生が住民に古書の提供を呼びかけていたことに応じて不要な本を提供した。
 今日は段ボール箱二箱ほどの本を持って行った。一箱は小説類を中心とした書籍で、もう一箱は、POSSE(ポッセ)という若者の労働・貧困問題に取り組むNPO法人が刊行している労働関係の季刊雑誌のバックナンバー数十冊  労働問題に関する革新的な主張が多く掲載されているのでK大熊野寮の学生なら関心があるだろう  をマイカーで運んで持参した。
 上記のミニコミ誌によると、寮内に共用の書架がいくつかあり、図書館のように寮生が本を共有しているとのこと。個人的に買った本も読了後はその共用書架に収め、その書架にある本は寮生がフリーに持ち出して読めるようなシステムになっているそうだ。
 ヤフオクやメルカリでも読了後の本を処分でき、結構な価格で処分することができる。しかし、以前、ヤフオクを利用したこともあるが、“めんどくさがり”の私にとっては、荷造りと発送の手間が煩わしい。
 本好きな人間としては、古本屋に二束三文で引き取ってもらうよりは、無償で譲っても、その本を有効利用してもらうにこしたことはない。

(23.1.21.土)晴れ
 今日は朝日新聞『読書』欄で、久しぶりに、次の4冊めぼしい本が取り上げられていた。
  @『ぼくはウーバーで捻挫し・・・』斎藤幸平(KADOKAWA)
  A『ゼロからの資本論』斎藤幸平(NHK新書)
  B『対論 1968』笠井潔・絓秀実(集英社新書)
  C『成熟スイッチ』林真理子(現代新書)
 夕方、さっそく大垣書店に行って、上記の本を立ち読みして確認し、結局、AとBを買った。この他に『ここが私の東京』岡崎武志(ちくま文庫)と中村文則の小説2冊を購入した。
 昨日、K大熊野寮に読了済みの本を引き取ってもらったが、それで書棚に余裕ができたために気が緩んでしまって、また新たに本を買ってしまった、まだまだ読みたい本が書架に控えているのに・・・・・・

(23.1.22.日)晴れ
 今日はNHKで全国男子駅伝を中継していた。年明けに京都で全国女子駅伝が行われたが、今日は男子で場所は広島。中継放送を見出すと、ついつい続けて見てしまうことになるが、当然のこととして地元の京都を応援してしまう。
 広島も、娘の婿が広島出身で、マラソン・コースになっている宮島近辺には、先方の家族に挨拶に行ったときに立ち寄ったことがある。広島市内も仕事の関係で何回か広島大学に行った帰路に、新幹線で帰京するときに、駅近辺で広島のお好み焼きをよく食べたもんだ。

【今日の読書347※書名頭の数字は当方のブログ『読書リスト』の数字
@-24『夏目漱石を読む』
A-42『昭和史 下』
B-46『利己的な遺伝子』
B-47『物理学の原理と法則』
E-23『自由対談』
F-81『神の子どもたちはみな踊る』
F-82『ここから世界が始まる』
G-11『失われた時を求めて13』
H-4『パンセU』
I-24『読書の日記』
K-22『深くておいしい小説の書き方』
L-6『三四郎』
コメント:前々回に『失われた時を求めて』から印象に残った文章を引用したが、今回また、この前と同じように『失われた時を求めて』のテーマにかかわるような重要な文章があったので、引用しておくことにする。第13巻もいよいよ終盤に差し掛かって、この小説全体をこれまでの記述を総体的に振り返るような文章が続いている。
p.442-444「私が世界や人生を退屈だと考えたのは、真実を欠いた回想によってそれらを評価していたからであり、みずからのうちに三度にもわたり紛れもない過去の一瞬が蘇ったからには、いまや私は生きることに強い意欲をいだくようになっていた。
 それは過去の一瞬、というだけのものであろうか?はるかにそれ以上のものかもしれない。むしろ過去にも現在にも共通し、この両者よりもはるかに本質的なものであろう。これまでの人生において、現実があれほど何度も私を失望させたのは、私が現実を知覚したとき、美を享受しうる唯一の器官である私の想像力が、人は不在のものしか想像できないという避けがたい法則ゆえに、現実にたいしては働かなかったからである。ところが突然、自然のすばらしい便法のおかげで、この厳格な法則が無効とされ、停止され、自然がある感覚  フォークやハンマーの音とか、本の同一のタイトルとか  を過去のなかにきらめかせて想像力にその感覚を味わわせると同時に、それを現在のなかにもきらめかせ、音を聞いたり布に触れたりすることによって私の感覚を実際に震わせたことで、想像力の夢に、ふだんは欠けている存在感が付与されたのだ。そしてこの巧妙なからくりのおかげで、わが存在は、ふだんはけっして把握できないもの、すなわち純粋状態にある若干の時間を  ほんの一瞬の持続にすぎないが  手に入れ、それだけを切り離し、不動のものにすることができたのである。私があれほど幸福に身を震わせながら、皿に当たるスプーンと車輪を叩くハンマーに共通する音を聞いたり、ゲルマン邸の中庭とサン・マルコ洗礼堂とに共通する不揃いな敷石を踏みしめたりしたとき、私のうちによみがえった存在は、さまざまなもののエッセンスのみを糧とし、おのが実体、おのが無上の喜びをそのエッセンスのなかにのみ見出すのだ。この存在は、現在を観察するときには感覚がそのエッセンスをとりだすことができないゆえに、また過去を考察するときには知性がその過去を干からびさせてしまうがゆえに、また未来を期待するときには、未来を築くための材料となる現在と過去のさまざまな断片から、意思が自分の指定する実用的な目的にかなう断片だけを保存し、その断片の現実性を奪ってしまうがゆえに、衰弱してしまう。ところが、かつて聞いたことのある音や吸いこんだことのある匂いをあらためて聞いたり吸いこんだりすると、その音や匂いは、現在のものであると同時に過去のものであり、現在のものではないのに現実的であり、抽象的ではないのに理念的であるからだろう、さまざまなものに内在するふだんは隠されている恒久的なエッセンスが解き放たれ、それとともに、ときにはずいぶん前から死んでいたと思われていたが完全に死に絶えていたわけではないわれわれの真の自我が目を覚まし、もたらされた天上の糧を受けとって活気づく。時間の秩序から抜けだした一瞬の時が、これまた時間の秩序から抜けだした人間をわれわれのうちに再創造し、そのエッセンスを感知させてくれるのだ。そうであれば、この人間が自分の感じた歓びを信じるのも理解できる。論理的に考えてマドレーヌの単なる味覚のなかにこの歓びの原因が含まれているとは思われなくても、この人間にとって『死』という語はもはや意味を持たないことが理解できる。時間の埒外にある人間であれば、未来のなにを恐れることがあろう?」

今日の映画347】※データは『映画.COM』のサイト等から入手
邦題:『私は確信する(Amazon Prime Videoで視聴)
原題:Une intime conviction
製作年:2018年
製作国:フランス・ベルギー
監督:アントワーヌ・ランボー
出演:ノラマリナ・フォイス/オリビエ・グルメ/ローラン・リュカ/フィリップ・ウシャン
ストーリー:大学教授の妻が3人の子どもたちを残して姿を消した。数々の証言や疑惑により、夫の大学教授ジャック・ヴィギェ(ローラン・リュカ)が妻殺害の容疑者となる。ジャックの無実を確信するシングルマザーのノラ(ノラマリナ・フォイス)は、彼の無実を勝ち取るため、敏腕弁護士のデュポン=モレッティ(オリビエ・グルメ)に事件の弁護を懇願する。自らアシスタントとなったノラは、事件の調査を進めていく。食い違いを見せる、刑事、ベビーシッター、スザンヌの愛人らの証言。次第にこの事件の新たな真実や疑惑が浮かび上がっていく・・・
コメント:評価は5点満点で、映画.COMは3.5、TSUTAYAは3.38、Filmarksは3.5で、私の評価は3.5とした。
2000年にフランスで実際に起こった未解決事件の「ヴィギエ事件」を題材にした裁判サスペンスで、それなりに緊迫感があって、見応えもある。なんの関係もないオバサンが被疑者の無罪を立証するために活躍するという話もなんか面白いが、実際にあった話ということだそうだ。

今日のジャズ347※データは『ジャズ資料館』のサイト等から入手
タイトル:A Day In The Life
アーティスト:Wes Montgomery
レーベル:A & M/ポリドール/キャニオン
録音年月日:1967.6.6〜6.8/1967.6.26
曲名:@A Day In The Life/AWatch What Happens/BWhen A Man Loves A Woman/CCalifornia Nights/DAngel/EElearnor Rigby/FWillow Weep For Me/GWindy/HTrust In Me/IThe Joker
ミュージシャン:Wes Montgomery (g)/Ray Along (frh)/George Marge (bass-fl)/Romeo Penque (bass-fl)/Joe Soldo (bass-fl)/Stan Webb (bass-fl,woodwinds)/Phil Bodner (woodwinds)/Herbie Hancock (p)/Ron Carter (b)/Grady Tate (ds)/Ray Barretto (per)/Jack Jennings (per)/Joe Wohletz (per)/Don Sebesky (arr,cond)/strings
コメント:A & MにおけるCTIシリーズの記念すべき第1作。このメガ・ヒットによって、ウェス・モンゴメリーは世界中の音楽ファンの間で話題になった。ピート・ターナーの秀逸なジャケット写真も評判を呼んだ。なによりイージー・リス人ング調のオーケストラをバックにオクターブ奏法を駆使したギター・ワークが素晴らしい。演奏者は超一流のひとばかりで、音質も最高。すべての点で極上のプロダクションが実現した。(『レーベルで聴くジャズ名盤1374』から引用)
<YouTubeライブ映像>

posted by ポピー at 14:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 逃病日記